一般化しつつある統合医療

日本における平均寿命の伸びは、西洋医学の発展のもと実現したといっても過言ではありません。
しかし、西洋医学は患者が訴える症状にその都度対応していく対症療法が基本であり、患者自身の体質を改善し根本から治療することは不可能です。
そのため原因のはっきりしない症状に苦しむ患者を治すことは難しいとされています。

そこで注目されているのが、西洋医学に漢方薬や鍼灸などの東洋医学を融合させた統合医療です。
西洋医学の薬は、患者の訴える症状や検査で判明した病気に合わせて処方される一方、東洋医学で用いられる漢方薬は、患者の訴える症状に加えて患者の体質に合わせたものが処方されます。
これにより漢方薬を用いた東洋医学は、患者の自己治癒力を高めて根本から症状を改善することが可能です。

西洋医学と東洋医学を融合させた統合医療の考え方は、医療業界で一般的になりつつあります。
患者に合う漢方薬選択の難しさや東洋医学に関するエビデンスの少なさから漢方薬の処方に消極的だった医師たちの間でも、西洋医学の薬と漢方薬を併用する流れが生まれています。
漢方薬を治療に用いていると回答した医師が8割にのぼるという調査報告もあるほどです。

しかし、西洋医学と東洋医学の融合には課題もいくつか指摘されています。
それは、この2つを融合させた統合医療の効果に関するエビデンスが依然として不足していることや、統合医療の定義が確立されておらず受けられる治療の質が一定しないことなどです。
安心かつ安全な統合医療を患者に届けるためには、これらの課題を1つ1つクリアする必要があります。